炭素ゼロのため水素エンジンの拡大に挑戦

トヨタ自動車、川崎重工業、ヤマハ発動機、マツダ、SUBARUの5社は3日、岡山県美作市での「スーパー耐久レース」競技場で共同記者会見を開き、炭素中立(CN)実現に向け、内燃機関の可能性拡大に挑むと発表した。

具体的には各社が①水素エンジンでレース参加を継続、②二輪車等における水素エンジンの活用を検討、③次世代バイオディーゼル燃料等CN燃料を活用したレース参加である。

CN実現に向け、モビリティ分野では急速な電気化が進んでいる。

「CN化=電動化」という風潮が形成されつつある中、5社は将来への選択の一つとして内燃機関で新たな可能性を見いだしている。 水素やバイオ由来燃料など次世代燃料に対応できれば、自動車産業がこれまで蓄積してきた内燃機関を基盤とする技術力やノウハウを引き続き活かすことができる。

①に関してはトヨタとヤマハが担当している。 トヨタは先月3~4日に岡山で行われたスーパー耐久レースに出場するなど水素エンジン車で耐久レースに参戦した。 ヤマハは水素エンジンの試作·燃焼検討、一部エンジン部品の設計などを担当している。

レース参加を通じて水素を供給する企業や自治体との連携も広げてきた。 かつては太陽光発電由来や地熱発電由来の水素を活用したが、今回は、新しく福岡市で作った下水バイオガスの水素を活用した。

②は川崎重工業とヤマハが二輪車への搭載を念頭に置いた水素エンジンの共同研究の可能性について検討を開始した。 ホンダ、スズキにも参加を要請し、4社から二輪車内燃機関のCN化の可能性を探る。

③については、マツダ、SUBARU、トヨタが行う。 マツダは岡山での耐久レースに、ユグレナが供給する使用済み食用油や微潮流維持を原料とした次世代バイオディーゼル燃料を使った。 SUBARUとトヨタは22年シーズン、耐久レースにバイオマス由来の合成燃料使用車両で参加する。

トヨタの豊田章男社長は会見で「少ない炭素であって内燃機関ではない」と強調し「一つの選択肢に絞らずに今まで積み重ねてきた様々な技術を基盤に内燃機関を発展させる方法があるのではないかと考え、不確実性に対しては多様な解決策で対処するのが私たちが考えるCNへの挑戦の道」と述べた。